◆小中高校におけるダンス教育の普及効果について
玉井質問

中学校学習指導要領の改訂により、2012年度から全国中学校の体育の授業においてダンスが必修化されています。

当初、実技・指導経験がなく指導には自信がない、運動技能・表現技法など的確な助言ができない、ダンスは他の競技種目と違い到達目標が一定ではないので評価が難しい、学校により生徒の意欲や理解、教員の指導力や配置、学校行事との関係、施設や設備が異なり一様ではないなど多くの課題が挙げられていました。私自身も、現代的なリズムのダンスにふなれな教員がおられることや、スポーツとしてストリートダンスが市民権を得ていないとの判断もあり、ダンス必修化に対し疑問を持つ一人でもありました。

先日、馳文部科学大臣が、特別顧問金子恵美衆議院議員や本県選出の井原巧参議院議員が顧問につき、全国各地で教諭、教員あるいは保育所、幼稚園から大学に至るまでの園児、児童生徒を対象にダンス教育に取り組む団体の指導研修会を視察させていただきました。

座学では、幼児期からエアロビクス、有酸素運動を経験して育つと、成人してからの肥満や疾病のリスクが低いことや、反復や記憶して動くという運動の練習、エクササイズが加わることにより、知的能力や自己制御力、社会コミュニケーション力を担う脳領域の機能が向上すること、音楽に合わせて踊ることにより、思春期の衝動的攻撃性や抑鬱症、鬱病などの改善に効果が見込めるなど、脳科学者の研究結果が紹介されていました。

また、実技研修では、参加した教職員の笑顔が会場にあふれんばかりとなりました。

昨年12月、全国の小学5年生と中学2年生を対象にした新体力テスト2015年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果が公表されました。

スポーツ庁鈴木大地長官からは、運動嫌いや習慣のない女子に対する各地の重点的な取り組みが奏功した。

中でも、和歌山県が行った県独自のダンス、紀州っ子かがやきエクササイズ&ダンスを小中高校の授業に広く導入するなどの取り組みを高く評価されていました。

昨今、幻の魚とされるスマの養殖やミカンの収穫量で全国一を争ってきた和歌山県と本県とのライバル報道がありましたが、中学2年生における新体力テストの結果を比較すると、ダンスが必修化された2012年度に男女ともリードしていた媛っ子の体力合計点は、和歌山に逆転を許してしまっている現状にあります。

和歌山県では、結果向上の要因として、県独自のダンスのほか、県内全校が2012年度に体力向上計画、体力アッププランを策定し、新体力テストの結果を踏まえて指導内容の充実を図ったことや、インターネットを活用した運動記録を競うサイトの開設、昨年開催された高校総体、国体、全国障害者スポーツ大会によって、子供たちの運動やスポーツへの興味が高まったことなどが大きいと分析しています。

そこで、お伺いいたします。
このように、ダンスは子供たちの体力向上に加えてメンタル面や社会コミュニケーション能力の向上にも効果があると言われていますが、本県小中高校におけるダンス教育の現状と今後の取り組みについてお伺いいたします。

また、毎年公表されている新体力テストの結果を受けて、本県児童生徒の体力・運動能力の向上、運動習慣の改善にどのように努めているのか、お聞かせ願いたいのであります。



理事者答弁(井上正教育長)

ダンスの必修化を受けまして、県教育委員会では、教員が自信を持ってダンス教育に当たることができるよう、楽しいダンス指導をテーマに、平成21年度から専門家による指導者研修会を開催するほか、授業づくり研究会やダンスの外部指導者の学校への派遣などによりまして、指導力の向上を図ってまいりました。

現在、県内の小学校ではリズム遊びや表現運動に、中学校では、現代的なリズムのダンスやフォークダンス等に取り組んでいるほか、ダンスが選択科目となっている高校でも、中等教育学校を含めた全日制高校55校中36校で現代的なリズムのダンスや創作ダンス等を実施しているところでございます。

さらに、来年開催のえひめ国体・えひめ大会に向けまして、本県独自のダンスや体操がさまざまな教育活動に取り入れられており、今後とも、子供たちが楽しみながらダンスに取り組み、身体表現を通じてお互いのよさや違いを認め合いコミュニケーションを深めますとともに、生涯にわたる健康づくりにもつながるよう、教員の資質向上に努めながら、運動に親しむ姿勢やお互いを尊重する態度の育成に努めてまいりたいと考えております。

最後に、新体力テストの結果を受けての体力・運動能力の向上等についてお答えをさせていただきます。

今年度の全国体力・運動能力、運動習慣等調査によりますと、体力合計点は全国平均を上回りました小学校5年生女子を除いて全国平均をわずかに下回っており、また、運動習慣は全国と同様、運動をする子供とそうでない子供の二極化が顕著となっております。

このため、県教育委員会では、えひめ子どもの体力向上プランに基づきまして、運動が苦手な子供たちに対して重点的に支援することとし、体育の授業づくり研修会や小学校体育専科教員による授業研究会の開催によりまして、教員の指導力の向上や授業改善を図りますとともに、ホームページ上で縄跳びやダンスなどさまざまな運動の記録を楽しく競い合うえひめ子どもスポーツITスタジアムや、プロスポーツ選手を初めとした外部指導者の活用を通して、運動好きな児童生徒がふえるよう取り組んでいるところでございます。

今後は、これまでの県の取り組みに加えまして、各小中学校におきましてもそれぞれの課題を踏まえた体力アップ推進計画を策定し、学校教育活動全体で取り組みを働きかけるなど、運動の日常化を推進することによりまして、児童生徒の体力・運動能力の一層の向上に努めてまいりたいと考えております。