◆人の移動と交流を活発化させる「えひめ南予博」について
玉井質問

今から四半世紀後となる2040年の本県の人口は、107万人にまで減少すると国立社会保障・人口問題研究所が推計しています。とりわけ、東・中予地方と比べて人口減少が早く進む南予地方では、このままの状態で推移した場合、16.7万人と推計されており、深刻な人口減少に直面すると考えられています。

急速な人口減少は、地域社会の存立基盤にかかわる大きな問題であることから、県内人口の自然減の歯どめ、県外への流出の是正を着実に進めるとして、昨年10月、愛媛県版まち・ひと・しごと創生総合戦略が策定されました。

出会いの場をつくり、安心して子供を産み育てることができる社会をつくることはもとより、それでも起こり得る人口減少に対し、人を呼び込むための移動と交流が今後のキーワードになると思うのであります。
愛媛に人を引きつける魅力があれば、人と人の交流により活力を生み出すことができます。今まで以上に国内の移動を活性化させることが重要だと考えます。
来年度を皮切りに、向こう5年間を見据えた第2期愛媛県観光振興基本計画では、時間とお金に余裕のあるシニア世代や大都市圏在住者を、特に力を入れるターゲットとして定めています。

このような中、今月26日に開幕を迎えるえひめいやしの南予博2016は、移動と交流、つまり南予活性化の絶好のチャンスだと捉えることができるのではないかと考えます。
11月20日までの期間中、キャッチフレーズとして掲げた「さとに憩い、ひとに和む。えひめ南予の、いやし旅。」を、ターゲット層となる大都市圏で生活している人たち、とりわけシニア世代に南予が持つポテンシャルの高さを強くアピールすることができたなら、非日常生活を追い求め、2地域居住につながるのではないかと思うのです。

また、いやし旅で終わらせるだけでなく、農林水産業従事者やNPO法人などの自主企画プログラムへの参加を促すことで、交流のきっかけづくりを行い、継続的なアプローチによりリピーターとなっていただき、地域の中に入り込み、交流を行うというライフスタイルを構築してもらうことも考えられます。居住する地域で人と人とのネットワークをつくり、交流し始めることで、消費に結びつく行動となり、地域の活性化にもつながっていくと思うからであります。

そこで、お伺いいたします。
移動と交流による活性化は、これからの愛媛を描くときの基本思想になっていくだろうと考えます。将来的な人の移動と交流を活発化させるため、えひめいやしの南予博をどう位置づけ、今後、どのように活用するのか、御所見をお聞かせ願いたいのであります。



理事者答弁(中村時広知事)

本県ではこれまでも、住んでよし、訪れてよしの観光まちづくりを推進してきましたが、本格的な人口減少に対応するためには、旅行消費の拡大による実需や雇用の創出に加え、観光目的での来訪を、交流から、さらには移住・定住へと進展させる取り組みを一層強化する必要があるものと認識します。

今回の南予博は、そうした観点から、厳しい人口減少に直面する南予における活性化の起爆剤の一つとして開催するもので、来訪される方々には、豊かな自然や食文化、歴史ある町並みや温かな人情など、都会にはない癒やしのふるさと南予の魅力を存分に体感していただくとともに、住民の皆さんが企画運営する自主企画イベントや、農山漁家民宿での宿泊などを通じ、地域の人々との交流を深めるきっかけづくりを行いたいと考えております。

また、愛育フィッシュ、真珠、ミカンなど南予が誇る産業資源に焦点を当てた南予通信大学の開講と、受講者を対象にした現地体験や都市圏のバイヤーを招聘しての農林水産フェア、南予収穫祭などのイベント展開を通して、単なる観光にとどまらず、南予地域の暮らしや仕事に関するさまざまな魅力に触れていただき、人々の活発な移動と交流による南予の活性化につなげてまいりたいと思います。