◆県立病院の経営について
玉井質問

さきの2月議会では、県民の生命に係る本県の医療提供体制について角度を変えながらたださせていただきました。中村知事からは、愛媛大学地域枠に対する地域医療医師確保奨学金制度を活用した学生が、早ければ平成29年度より毎年おおむね15名から20名医師として誕生することにより、救急医療や小児・周産期医療など必要不可欠な医療が疲弊している医療圏域へ優先配置することや、今後もこの制度を活用し、地域で活躍する医師を最大で170名程度養成していくこと、また、地域の救急医療体制の維持・改善に取り組むことなどが示され、地域の医療提供体制の再編などに向け心強い回答をいただいているところです。

その後の3月31日、総務省自治財政局から新しい公立病院改革ガイドラインが通知されました。示されたガイドラインには、地方が取り組んでいく上でハードルの高い事項があると感じています。その一つが、病院老朽化により建てかえを行った場合、元利償還金の交付税措置が現行より5%引き下げられること、2つ目として、運営費に係る地方交付税措置の算定基礎が、従来の許可病床数から稼働病床数へ見直しされること、3つ目として、医業収入確保のために、保険診療、効率性、複雑性、カバー率、救急医療、地域医療、後発医薬品の7項目の指数から成る機能評価係数Uを上昇させなければならないことなどが挙げられます。これらは総じて、自治体病院であってもサービスを提供して収益を上げる業態へ、また、人を雇わなければ利益が得られないなど病院の提供する医療サービスの性格が変わってきていると言えるのではないでしょうか。

また、厚生労働省や公的機関から発表される病院のさまざまな治療データをわかりやすくまとめた、いわば病院版ミシュランが、病院情報局という公式ウエブサイトで公表をされております。病院関係者だけでなく、地域住民、病院職員、開業医、銀行や取引先など多くのステークホルダーがアクセス可能で、今や病院の情報を容易に入手できる状態、見られているという認識も当然ながら必要となっているのです。

医師確保については、中村知事より、今後170名程度養成するとの方針が示されておりますが、勤務医の開業医への転身や院外への転出など不透明な要素や看護師についても適正な配置が望まれます。さらに、経済財政諮問会議の議長を務める安倍総理大臣は、自治体病院の事務長が医療経営の専門家でないことが多いが、医療経営の専門家を充てた自治体病院は画期的に経営が改善しているところもあると聞くと発言されています。医療機能を向上して収益を上げるには人や医療機器などに投資を行うことが必要で、今の投資が将来の収益という形で返ってくるといった度量など経営手腕も問われているのです。

そこで、お伺いいたします。
国の医療提供体制改革が進む中、自治体病院も生き残りのための取り組みが求められる時代となりました。今回示されたガイドラインは、これからの県立病院の運営にも大きなインパクトがあるため今後のありようが気になるところです。加えて事務職員に関して外部人材の活用やプロパー専門職員の採用、専門的なスキルを持った職員を計画的に育成する仕組みの構築なども求められております。県立病院のこれからの経営について、進むべき方向をお示しいただきたいのであります。

また、国の進める診療報酬や介護報酬の抑制政策は、制度のすき間からこぼれ落ちる人を増大させると言われており、緩衝器としての役割を自治体病院が担っていると言っても過言ではありません。一方で、緩衝器として自治体病院に頼り過ぎれば利用者のモラルハザードが生まれやすく、医師・看護師の疲弊による退職や医療資源への過剰な投資による病院財政の破綻など、結果として地域全体に適切な医療を提供できなくなる可能性が高まることを県民は理解する必要があります。

このような中、国からは、遅くとも来年度中に新公立病院改革プランを策定するよう求められているところですが、県民から理解される新公立病院改革プランをどのように策定していくのか、お聞かせ願いたいのであります。



理事者答弁(俊野健治公営企業管理者)

少子高齢化の進展に伴う人口減少社会の到来による今後の医療ニーズの変化に対応するため、法律に基づく地域医療構想を踏まえた県立病院の役割の明確化が求められております。さらに、総務省の新公立病院改革ガイドラインでは、経営の効率化も求められているところでございます。

県立病院も地方公営企業法に規定されているとおり、経済性の発揮と公共福祉の増進が求められますことから、今後の運営に関しても、収益性の確保を念頭に必要な医療提供機能の維持、充実に努めなければならないと考えております。現在、地域医療構想や総務省のガイドラインに沿って県立4病院の今後の進むべき方向について県立病院機能強化検討委員会を設け検討を進めているところでございますが、これまでの議論の中では、健全経営の確保の上で救急や周産期などの政策医療の強化、地域医療機関との連携強化、施設の老朽化対策のほか、医師及び看護師等の人材確保・育成対策などが検討課題に挙がっているところでありまして、今後、早急に各県立病院の進むべき方向を取りまとめていきたいと考えております。

平成27年3月に総務省が策定しました新公立病院改革ガイドラインでは、地方公共団体は、平成28年度までに、平成32年度までを期間として地域医療構想を踏まえた役割の明確化や経営の効率化を重視する新公立病院改革プランを策定することとされております。

本県では、新たな改革プランに対応する中期経営戦略の策定を進めておりますが、地域医療構想とも密接に関連しますことから、県立4病院もメンバーに加えた県立病院機能強化検討委員会において医療現場の声を十分反映させますとともに、圏域ごとに異なる医療資源や医療需要の動向を踏まえた内容となるよう検討を進めているところでございます。

今後、二次医療圏ごとに策定される地域医療構想の検討状況も踏まえながら、地域に必要な医療が継続して提供でき、なおかつ健全経営が確保できるような新しい中期経営戦略を策定してまいりたいと考えております。