若手人材確保への支援や魅力ある企業等への就労促進について
玉井質問

 安倍政権が最重要課題と位置づける地方創生。中央集権的な今の仕組みを変えて若者も高齢者も豊かな生活を送ることができる地方の活性化が、今、クローズアップされています。しかしながら、このことに地方が今日まで足踏みをしていたわけではなく、その呼び水となったのが、昨年5月に発表された元総務大臣増田寛也氏ら有識者のグループ日本創成会議人口減少問題検討分科会による消滅可能性都市896のリストと、消滅という言葉を使ったインパクトの大きさであり、地方創生の考え方の機運が一気に高まったものと考えます。本県のような地方では、このまま少子高齢化と人口減少が続けば高齢者を支える若者が極端に減り、公共サービスの維持もできなくなるという危機感を多くの県民が共有した瞬間でもありました。
 これまでの歴代の政権もさまざまな地域活性化策を打ってきたにもかかわらず、現状は厳しいものと受けとめざるを得ません。そうであるならば、若者が働く場をつくり公共サービスを充実させるなどの環境を整えることができれば、これ以上の人口流出、人口減少を食いとめられる可能性があるのですから、本県においても、今までの発想とは異なる次元であらゆる対策を講じていかなければなりません。その一つの施策として、若者の地方回帰を促進することを提案したいと考えます。
 千葉大学の廣井良典教授によると、ここ数年、学生の間では地元志向、ローカル志向が明らかに強まっているとのことです。自分が生まれたまちを世界一住みやすいまちにするというテーマを掲げて研究に取り組む学生や、東京の大手企業で数年働いた後、ふるさとの活性化にかかわりたいという理由で退職し、地元の製造業に再就職した事例を紹介しています。
 地域コミュニティが崩壊しつつあることに若者たちは不安を抱え、何とかしなければならない、地域に貢献したいなど何らかのコミュニティの一員でありたいという人間としての本質的な欲求に駆られ、このことを実践している事例の一つが、地域おこし協力隊の皆さんではないかと私は感じております。また、大都市圏の大手企業に勤めている若者が、ふるさとの新居浜太鼓祭りや西条祭りにいつまでもかかわっていたいと思う地元への愛着心が土台となっているケースも考えられます。事実、住友の城下町と呼ばれる新居浜市の各事業所では、その若者の心理をうまく利用し、中途採用の募集広告を定期的に打ち出し、優秀な若い地元出身者の人材確保に努めていると聞いております。
 また、鳥取県では、鳥取県技術人材バンクを運営し、県内を初め東京、大阪にコーディネーターを配置し、求人企業と技術系求職者のマッチングを行っているようです。さらには、若者の県内就職のためのスタッフを東京、大阪に配置し、そのニーズなどを的確に把握しながら相談に応じたり、大学生や保護者向けの県内就職情報のメルマガ発信のほか、Uターン就職を促進するための関西圏の大学との協定締結など、県内企業への人材確保を積極的に促進しています。
 
そこで、お伺いいたします。
 県内企業等における若い地元出身者の人材確保への支援や魅力ある企業などへの就労促進について、県として今後、どのような取り組みを考えられているのか、御所見をお伺いしたいのであります。


理事者答弁(中村時広知事)

 若者の進学や就職を契機とした県外流出が本県の人口減少の要因の一つにもなっている中、将来にわたって地域の活力を維持していくためには、若者の県内就職の促進や定着を図ることが極めて重要であると思います。
 このため、ジョブカフェ愛workを中心にウエブ等を活用した県内企業の魅力発信を初め、会社説明会や職場見学会の開催などにより若者と企業のマッチングを促進しているほか、特に県外大学への進学者に対しては、関西を中心として全国一となる71校と就職支援連携協定を締結し、大学の就職ガイダンスへ相談員も派遣するとともに、県内企業や就職支援サービス等に関する情報提供に取り組んでいるところでございます。
 来年度からは、新たに「スゴ技」データベース掲載企業を初めとした県内企業のすぐれた技術力や働く場としての魅力を紹介する中高生向けの冊子を作成、配布し、キャリア教育で活用するほか、採用前インターンシップとセットになった面接会や大都市圏での四国4県合同の会社説明会を開催するなど、若者の県内就職に向けた取り組みをさらに強化したいと思います。
 また、人材確保に取り組む企業に対して専門家によるコンサルティングを実施し人材の採用や育成を支援するとともに、都市圏等からのUIJターン就職に係る助成制度を創設し、優位な人材の転職を後押しすることとしており、大学や企業、ハローワーク等の関係機関とも連携しながら、一人でも多くの若者が地域産業の将来を担う人材として県内に定着するよう全力で取り組んでまいりたいと思います。