観光立県確立に向けたインバウンド対策について
玉井質問

安倍政権の経済政策アベノミクスは、財政・金融的な刺激を提供して、為替や株価を動かしました。日本銀行が本腰を入れて円の価値を下げる政策をとるため、異次元の金融緩和を打ち出し、為替市場も将来の円の価値低下を織り込んで円安に向かったのです。
これは、日本の成長エンジンになり得る観光業にもフォローの風が吹いています。外国人旅行客にとって訪日観光が割安なものとなり、特に、近年著しい経済成長のもとで富裕層がふえている東南アジアにおいて、訪日観光需要を大いに刺激していると言われています。それを裏づける数値が観光庁が7月に発表したことし上半期の訪日外国人の旅行者数で、前年同期比22.8%増の約495万5,000人で過去最多記録となっているのです。

観光立県えひめを目指す本県にとって、今後、確かなカードの一つになり得るものは、中村知事が松山市長時代から追い求めてこられた愛媛松山空港と台湾松山空港を結ぶ夢のかけ橋、チャーター便の運航であり、瀬戸内しまなみ海道国際サイクリング大会だと思います。本県の地域資源を余すことなく、親日家の多い台湾はもとより、全世界へと情報発信できると今から期待に胸を膨らませております。
また、歴史問題や尖閣・竹島問題を抱える中国本土や韓国にかわって新たな外国人観光客として注目をされているのが、親日国が多いうえに今後も高成長と富裕層・中間層の増加が予想されるタイやインドネシア、マレーシアといった東南アジア諸国で、安定的で成長が望めるインバウンド市場として地方自治体の誘客競争の主戦場となりつつあり、その成否こそが地方自治体の観光戦略を左右するとの見方がされています。

観光庁が実施した外国人旅行者に対するアンケート調査によると、日本旅行中に困ったことの問いかけに最も多かったのが、無料の公衆無線LAN環境の未整備が挙げられています。
県内各地の観光施設やホテル・旅館、店舗などにいち早く快適なWi−Fi環境を整えて、利便性を向上させ、外国人観光客の受け入れ態勢で他の観光地との決定的な差別化を図ることが求められていると考えます。

このほかにも、インバウンド戦略として、来春スタートする瀬戸内しまのわ2014に見られる近接する地方自治体同士の御近所広域連携ではなく、距離的には遠く離れていても同じテーマで協力し合える遠距離型広域連携やテーマ型広域連携も今後は求められています。
また、ディスカウントストア「ドン・キホーテ」では、5年も前から外国人観光客向けサービスを強化しているようです。店内所狭しと並べられた陳列商品に中国語、韓国語、英語のポップ広告が、ウエブサイトには中国語、韓国語に対応したページを初め、店舗情報、取り扱い商品、人気商品やお勧め商品、キャンペーン情報などを掲載し、来日前の情報収集に役立つよう店舗周辺の観光情報なども発信して、日本の総合お土産館として東南アジアの外国人客に認知されています。このように企業とタッグを組むこともインバウンド戦略の一つだと私は思っています。

そこで、お伺いいたします。
真の観光立県えひめを実現させるためには、約1年後に迫った瀬戸内しまなみ海道国際サイクリング大会を成功させることが越えなければならない最初のハードルだと考えます。
また、中長期的には、外国人旅行客が県内で支出した交通費や宿泊費、お土産などを観光消費額と定め、目標数値を掲げたアクションプログラムの作成や、愛のくに えひめ営業本部を中心に産業や食、歴史や文化も観光とセットで販売することも必要だと思います。 真の観光立県えひめに向け、海外からのインバウンドにどう取り組んでいくのか、県の意気込みをお聞かせ願いたいのであります。

理事者答弁(中村時広知事)

人口減少に伴い国内市場が縮小する中、海外の観光需要を取り込むことは、旅行消費の拡大等による地域活性化や国際交流の推進につながることから、県では、国際定期路線で結ばれた中国・韓国や、松山−松山のチャーター便が実現した台湾など、東アジアを中心とした外国人観光客の誘致に積極的に取り組んでいるところでございます。
また、成長著しく、訪日意欲も旺盛な東南アジアからの来訪を促進するため、4月には、その切り口としてサイクリング熱の高まりを捉えて、ガルーダ・インドネシア航空へ私自身お伺いしてまいりまして、サイクリングしまなみ2013に合わせたツアーを要請したところ、これが実現したほか、成田−松山間のLCC就航を契機として、英語圏も対象に、英語の旅行情報誌やウエブサイトを活用して本県観光情報の発信を強化するなど、新たな地域からの誘客にも努めており、来年のしまなみ海道国際サイクリング大会を成功させることはもとより、2020年オリンピックの東京開催で増加が見込まれる訪日観光客の愛媛への誘客促進にもつなげていきたいと考えております。

受け入れ態勢の整備につきましては、松山空港や主要観光地での外国語表記の充実に努めるとともに、接客の際の指さし会話集やまち歩きマップの作成、イスラム対応のための研修会開催などに取り組んでいるほか、Wi−Fi環境につきましても、先進的な導入事例を宿泊施設等に紹介するなど、整備促進を図っていきたいと考えております。
県観光振興基本計画では、外国人宿泊者数を平成27年に5万7,000人に増加させることを目標としており、今後とも、その達成に向けて、営業本部の営業活動とも連動させながら、本県のすぐれた産業や食、豊かな歴史・文化等も組み合わせた情報発信や観光プロモーションに取り組むとともに、遍路文化で培ってきたおもてなしの心をもとに、一人でも多くの外国人観光客に訪れていただけるよう、インバウンド対策にも積極的に取り組んでいきたいというふうに思います。